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TWILIGHT CONCERT
對馬哲男(ヴァイオリン)、日橋辰朗(ホルン)、加藤洋之(ピアノ)
配信日時: 2021年5月13日(木)11:00~2021年8月13日(金)11:00

皆様こんばんは、トワイライトコンサートWeb配信をご覧いただきありがとうございます。緊急事態電宣言も三度目。 昨年の今頃は第一回目の宣言(延長)期間真っただ中だったんですよね、あれからもう一年か、、、でも感傷にふけている場合ではございません、前進あるのみ。いつかまたお客様をお迎えして演奏会ができる事を目標に頑張っていきましょう!
本日はヴァイオリンの對馬哲男さん、ホルンの日橋辰朗さん、そしてトワイライトコンサートではお馴染みの加藤洋之さんを迎えての1時間のコンサートをお送り致します。実はこのコンサート、昨年3月のトワイライトコンサートで予定されていたのですが、新型コロナウィルスの影響で中止を余儀なくされていたものです。
リヒャルト・シュトラウス(1864-1949): ホルン協奏曲 第1番 変ホ長調 op.11(ホルン&ピアノ版)

 I. Allegro
 II. Andante
 III. Rondo Allgero
若干18歳の時の作品で、作風も皆さんの思い描くような半音階経過音だらけの後期のシュトラウス的な作品とは程遠い。シュトラウスは父がホルン奏者だった影響もあり、若いころからホルンの作品を手掛けることも多く、交響曲やオペラの中でも見せ場や象徴的に使っていた。1883年に書かれたこの作品は3楽章絶え間なく演奏されるattacca形式で演奏時間も約18分とそこまで規模は大きくない。ホルン&ピアノ版といわゆる管弦楽をバックにした協奏曲とは相違が見られる。出版元がそれぞれ違い校訂の際に加筆された説が一般的。モーツァルトのホルン協奏曲と並んで演奏頻度の高い作品である。第1楽章は変ホ長調にふさわしい「Heroic(英雄的)」な曲調、続く第2楽章はブレス一つ一つに気を使いゆったりと歌わなければならない、そして始終堂々とした曲想を保ちながら第3楽章を終える。
蛇足だが、この5年後にあの伝説的なヴァイオリン・ソナタを完成させる。偶然にも同じ調性で書かれているのが興味深い。
エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト(1897-1957): 「から騒ぎ」から4つの作品 op.11

 Madchen im Brautgemach(新婚夫婦の寝室の中の女中)
 Holzapfel und Schlehwein(林檎とスローベローワイン=衛兵の行進)
 Gartenscene(庭園の情景)
 Munnebschanz(仮装舞踏会)
元々は同名の喜劇の付随音楽。そこからまず管弦楽のためにこの4曲を作りさらにヴァイオリンとピアノのために編曲した。
4曲とも不安定な旋律(不協和音)とチャーミングな旋律が目まぐるしく交差する洒落た感じで曲想が進む先々でほんのちょっぴりドラマチックに「良い意味で」騙される。シェークスピアそのものだ。ピアノを弾いてた者としては聴くより弾くほうが楽しんじゃないかと思わせるような曲、というか真面目にいい感じに現実と夢との間を行き来できそうで弾きたい(ハイ、主観です)。

ここでコルンゴルトについてちょっぴり解説を、、、
「作曲家の波乱万丈の人生」はよくある話である種伝記のように語られることが多いが、コルンゴルトの場合は近代歴史に絡むため、ちと生々しい。

マーラーやシュトラウスなどに恐れられるほどの「チャイルド・プロドジー作曲家」として成長し、絶頂期にはシェーンベルクと肩を並べるまでに成功→ハリウッド映画音楽に足を踏み入れ成功→ナチス・ドイツのオーストリア併合によりアメリカへ亡命し、生活のために映画音楽を作り続けさらにはオスカーまで受賞→第二次世界大戦後、新作を引っ提げてウィーンに帰還するも、時すでに遅く「映画音楽に身を売った古臭く、安っぽい音楽を書く作曲家」とレッテルを貼られてしまい(戦後のウィーンはもっばら前衛音楽一色で後期ロマン派はすでに過去のものとされていた&映画音楽は徹底的に見下していた)、失意のもとハリウッドに帰還→脳出血で死亡。

まあ人生こんなもんですね、、、、ただそんなレッテルを貼られたコルンゴルトだったが今となっては一周回って今では20世紀を代表する作曲家として再評価されている。
ヨハネス・ブラームス(1833-1897): ホルン三重奏曲 変ホ長調 op.40

  I. Andante
  II. Scherzo (Allegro)
  III. Adagio mesto
  IV. Allegro con brio
演奏時間約30分の本日のガチプログラム、超名曲。数多くの室内楽作品を残したブラームスだがホルンを含んだものは、この曲のみである。同年の2月にブラームスの母をこの世を去ったために「母への悲歌」として追悼の念も含まれている。冒頭はヴァイオリンとピアノという非常に良く聞くコンビで始まる。そこにホルンが立っているのは承知の上だがいざホルンが響き始めると「おおっ」と新鮮な気持ちになる。ヘミオラといわれるブラームスが好んだ作曲テクニックが随所に現れる。秋から冬が似合う結構真っ暗路線、五臓六腑に染み入るようなため息物の第1楽章。スケルツォの第2楽章は秀作。オクターブの素速いパッセージが諧謔と重厚を程よくミックスさせている、さすがブラームス。第3楽章は亡き母へ対するブラームスの念が注ぎ込まれた哀歌。
第4楽章はFinaleにふさわしくとても技巧的で室内楽の作品として非常に弾きがい、聞きがいあると思いますよ。
ただ、全体を通すととってつけた感があるのは否めない。単体として聞くのは本当に楽しい、凄い、鳥肌ものです、、、、が、突然「空は青空、あなた大好き、一緒に走りましょう、シャララン♪」と謎の告白を受けているかのようで、第1楽章や第3楽章でアンニュイな気分にド浸りしたんだからブラームスらしくもっと荘厳で重厚な終楽章を期待してしまった自分が気持ちは内緒です。
まあとにかくホルン、ヴァイオリン、ピアノというブレンドさせるのが非常に難しそうな構成(因みに私の知る限りではこの曲以外この構成は知らない)をお楽しみいただければ幸いでございます。
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読売日本交響楽団の首席ホルン奏者・日橋辰朗と、ヴァイオリンの對馬哲男が
室内楽の名手ピアノの加藤洋之と送る室内楽の夕べ。
ウィーンに所縁のある作曲家たちの作品を集めて──

演奏
曲目
  • R. シュトラウス:ホルン協奏曲 第 1 番 変ホ長調 op.11 (ホルン&ピアノ版)
  • コルンゴルト:「から騒ぎ」から 4 つの小品 op.11
  • ブラームス:ホルン三重奏曲 変ホ長調 op.40
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