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TWILIGHT CONCERT
光を求めて~谷原めぐみ(ソプラノ)&南雲 彩( ピアノ)
配信日時: 2021年2月18日(木)11:00~2021年5月18日(火)11:00

みなさま、こんばんは。トワイライトコンサート・ライブ配信をご視聴頂き誠にありがとうございます。日中は気温も上がりべらぼうにお寒かった冬の出口ももうすぐと言う塩梅でございますが、まだまだ朝晩は冷え込みます、体にはくれぐれもご自愛ください。
そんな寒さを吹き飛ばすようなパワフルな声の持ち主、ソプラノの谷原めぐみさんの登場です。実は谷原さん、かな~り昔なのですが伴奏させていただく機会がございまして、初顔合わせリハーサル時、圧倒的な声量に度肝を抜かれました。逆に言うと音量気にしないでジャンジャン弾いても構わないや、という妙な安心感があったのが凄く印象に残っています。あれは確か2013年、まだ自分の頭には髪の毛があった。時の流れは残酷、、、、
なんてかなり脱線しちゃいましたが、本日はピアノに南雲彩さんをお迎えし、日本語、ドイツ語、フランス語、イタリア語とマルチランゲージな演奏会をお楽しみください。
リヒャルト・ワーグナー(1813-1883): 歌劇《タンホイザー》より「崇高な殿堂よ」
ワーグナー初期のオペラ《タンホイザー》。若気の至りというか一回見ると食傷気味になってしまうくらい色々テンコ盛りなオペラです。大雑把なストーリーですが後期ロマン派みんな大好きファム・ファタール系女子(魔性の女)と正義の女子の間で揺れ動く青年。
「官能(エロス)の世界」と「現世」を行き来できるとかワーグナーらしい、、、テーマからしてイタリアオペラと別次元ですね。第一幕なんて音楽がなかったら確実にR指定。なんとなく吉原遊郭と堅気の世界という設定演出で日本版《タンホイザー》をやったら面白そうと浅はかな妄想をしてしまう私。
このアリアは第二幕にてタンホイザーが現世の歌合戦に帰ってきたことを迎え入れるヒロイン、エリーザベトによるアリア。ワルキューレの長調版のごとく勇ましく格好いい女性、誠の世界の神聖さが上手く表現されています。
ガエターノ・ドニゼッティ(1797-1848): 久遠の愛と誠

Eterno Amore e fè,
ti giuro umile ai piè,
ti giuro eterna fè,
presente Iddio, ti giuro amor,
ti giuro fè, presente Iddio.

Viver, morir per te
è il solo ben che a me
dal ciel desio.

イタリア語が良くわからない自分でも何となく雰囲気がつかめます。
Eterno→「永遠」、amore→「愛」、 fè→「忠誠、誠」、giuro→「誓い」Iddio→「神」、Viver→「生きる」、morir→「死ぬ」、、、こんな短い詩にドラマチックなワード三昧、当然韻も踏ませてます。ピアノの和音と同時進行するコラール風なパートと分散和音に乗せてイタリア歌曲らしいパートがある。
オットリーノ・レスピーギ(1879-1936): 最後の陶酔
レスピーギ初期の歌曲、その名の通り「自己陶酔型愛の告白歌」。
レスピーギを誤解してる人は少なからずいると思う。 ベッリーニやドニゼッティの歌曲とかと一緒に楽譜を渡されると「あらこの人お洒落で素敵な和音を使うし、構成もしっかりしてるじゃん」位の認識で、まさか生きてる時代も被ってない位、近代寄りな方だとは夢にも思いませんでした。だって楽譜もリコルディ版特有の化石のようなフォントだったし、、、
代表作「ローマ三部作」をパッ言い当てられるくらいのオケ好きな方だったら「全然違います!」って怒られそうだが、埋もれちゃってる感のある作曲家です(トスティより守備範囲広いし本当はもっと演奏機会があってもいいくらいの作曲家)。
團 伊玖磨(1924-2001): 『抒情歌』より「花季」
大木実の詩集「屋根」の中の一つに山田耕作の次世代の作曲家、團伊玖磨が曲を付けたもの。『抒情歌』は3つの歌曲からなりこの「花季」は第1曲目にあたる。
中田喜直(1923-2000): 『木の匙』より「悲しくなったときは」
寺山修司の詩に日本歌曲の第一人者の中田喜直という最強コンビの歌。全てを受け止めてくれる普遍的な「海」の存在を歌う。中田喜直の歌曲、この曲と「サルビア」がどうのこうのっていう曲と「おやすみなさい」は何回も伴奏したことあるので多分日本歌曲のスタンダードレパートリーなんだと思う。
やないあすか: ましろの月
フランスの詩人ポール・ヴェルレーヌ作の「ましろの月」を永井荷風が訳したもの。
この訳詩に、やないあすかが曲をつけ、見事「奏楽堂日本音楽コンクール第26回作曲部門第2位」に輝きました。さらに谷原さんは同コンクール第23回で堂々の第1位を受賞しておりますので相性は抜群に良いはずです。
クロード・ドビュッシー(1862-1918): 『ベルガマスク組曲』より「月の光」
ドビュッシー初期の作品で解説のしようもないくらい音楽史上に名を轟かす楽曲。音楽愛好家でなくても「これ知ってるけど、名前が出てこない」ってこともないくらいでしょう。『ベルガマスク組曲』という全4曲の第3曲目にあたるのだが、ほぼ単独で演奏される。透き通るような音使いで「水面に映る夜の月の光」を容易に想像できる。
エルネスト・ショーソン(1855-1899): 蜂鳥
27歳だったショーソンがルコン・ド・リールの詩を奏でたもの。作品番号「2」の歌集「7つの歌曲」中の第7番目にあたるので、彼の作品の中でもかなり初期の頃に書かれたものでございます。邦題は他に「蜂雀」、「ハチドリ」と表記するものがある。
ショーソンはかなり多くの歌曲を残しているが、41歳の時に書かれている「ヴァイオリンと管弦楽のための詩曲」があまりに突出して有名なため影を潜めてしまっている印象がある。
決して広くはない音域の中で(全曲通してほぼ1オクターブ内でうろうろしてる)、言葉の音への当てが見事で、「力んだら終わり」みたいな「フランス風のわびさび」を堪能することができます。日本にはいないハチドリ、詩の中では丘の王と表現されています。
ジャコモ・プッチーニ: 歌劇《ラ・ボエーム》より「私の名はミミ」
《トゥーランドット》、《トスカ》、《蝶々夫人》など名だたるオペラを作曲したプッチーニですが、オペラをこれから見始めようとする人に「何から見ればいい?」と聞かれたら真っ先に《ラ・ボエーム》と答えます。主人公ミミは最後には病死してしまうという悲劇ですが、悪い人が一人も出てこないところがこのオペラのとっつきやすいところ(もう一人のソプラノ役・ムゼッタがちょっとDQN系ズベ公だが実は超優しくて感動する)。
「私の名はミミ」は声楽専攻(ソプラノ)の生徒であれば誰もが通る道、声質が合えば一生のレパートリーに入れることのできるアリア中のアリアと言っても過言ではないでしょう。他にも「冷たい手を」、「ムゼッタのワルツ」や「外套のアリア」などでも名曲ぞろいの素晴らしいオペラ。欲を言えば、舞踏会など華やかな場面がない(かろうじてクリスマスを祝う群衆の場面があるくらい)のでセットもなんだか焦げ茶色だったり寒々しい雪景色だったりで終始暗~いところが寂しいところかな、、、あとは登場人物が純粋過ぎてツッコミどころ満載な点でしょうか?
因みに映画「月の輝く夜に」をご覧になる事もお勧めします。1987年の古き珍アメリカ映画ですが若きシェールとニコラス・ケイジが拝めます! ニコラス・ケイジ扮するロニーが大のオペラ好きで《ラ・ボエーム》が効果的に使われてます。自分がMETのキラキラ噴水広場に憧れたのもオペラに興味を持ち始めたのもこの映画がきっかけです(歳がばれちゃうけど、何でもありだったあの時代のニューヨークに行けるのなら行きたい)。
アンリ・デュパルク(1848-1933): 悲しき歌
分散和音の伴奏に魅力的な旋律を載せたデュパルクの代表的な歌曲。先のドビュッシーもそうだが決して声高らかに張り上げてはいけない曲想のなか、印象的な跳躍音程があり、歌手にコントロール力、テクニックが求められる。
ジュゼッペ・ヴェルディ(1813-1901): 歌劇《オテロ》より「柳の歌~アヴェ・マリア」
オペラ歌手を目指しているならタイトル・ロールのオテロかその敵役ヤーゴは夢というくらいテノール、バリトンに注目が行ってしまう作品ですが、「このオペラはどの場面が一番好き?」と聞かれたらベタですが「柳の歌~アヴェ・マリア」と私は言っちゃう。嫉妬にトチ狂った旦那からの仕打ちを不安に想う妻デズデモナの名場面で『静なる狂乱の場』とでも言いましょうか。「ちょっと、オテロ、あんたまんまとだまされてるんだよ!!」っ舞台袖まで誤解を解きに行きたくなっちゃうところですが、この場面をみたいがためについ最初からリピートしちゃいます。
因みに「柳」は西洋では「不吉」意味します。「柳の歌」から「アヴェ・マリア」に入る音使いは不安から悟りへ、デズデモナが覚悟決めた瞬間を想像できる、「と・り・は・だ・!」場面です。
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『光を求めて』──ワーグナーやヴェルディ作品のアリアや、日本歌曲など、
今、最も注目されている若手ソプラノのスター・谷原めぐみがお届けする冬の一夜

演奏
曲目
  • ワーグナー:歌劇《タンホイザー》より「崇高な殿堂よ」
  • ドニゼッティ:久遠の愛と誠
  • レスピーギ:最後の陶酔
  • 團 伊玖磨:花季(《抒情歌》より)
  • 中田喜直:悲しくなったときは(《木の匙》より)
  • やないあすか:ましろの月
  • ドビュッシー:月の光【ピアノ・ソロ】
  • ショーソン:蜂雀
  • プッチーニ:歌劇《ラ・ボエーム》より「私の名前はミミ」
  • デュパルク:悲しき歌
  • ヴェルディ:歌劇《オテロ》より 柳の歌~アヴェ・マリア
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